我々は美凪が受け取った手紙の住所が本当にAIRの舞台なのかという疑問を解決するため、TV版AIRのキャプチャ画像だけを頼りに美浜町に向かった。
「まだ日本にこんなところがあったのか」
思わず口に出てしまった言葉はついてきたカラスには理解できないようだ。
吹き荒ぶ強い風、360度の青空と海と太陽、そして関西国際空港から飛び立つ飛行機は幾筋もの飛行機雲をスカイブルーのキャンパスに描いてゆく。
機械が故障しただの、ものが壊れただの、金が無いだので打ちひしがれていた我々は改めて雄大な自然が残る紀伊の自然を噛み締めていた。
煙樹海岸に降り立った我々を迎えたのは小石だらけの上に引かれた人工砂浜
我々はそれ見るなり全てを悟って、涙ながらに「ああ、ここが舞台ではないのだ」とその場に崩れ落ち何度も地面を叩いて敗北を感じた。我々はこの時初めてあの手紙に騙されたと思った。
誰が悪い訳ではない、熊野と砂浜を結び付けようとなると美浜町しかなかったのだ。
我々はコンビニで買った美浜町の白地図を手に、打ちひしがれながら神戸へと帰路についた。