もし、劇場版を見る予定があるなら、このエントリーは読まない方が良い。そちらの方がより楽しめるはずだから。


劇場版の評判は総じて悪いようだが、それは上映開始後すぐに感じる事が出来る。
「AIRにしては騒々しい」のである。

キャラクターデザインは樋上いたるが好みで無い人向けに適度にモディファイされているから、この部分については特に論じる必要も無いだろう。原作と似ていないことは余り大きな問題ではないということだ。
監督は出ざき統(字が出ないので平仮名)だが、これも余り意識する必要は無いだろう。彼はアクション・アニメでは非常に著名でアニメ界を代表する監督だが、今回の作品では彼の手腕を発揮する場所が無かったのか、はたまた自分の得意ジャンル以外ではまったく能力が出せないのかは知らないが、とにかく「これは」と思わせる部分が一つも無かった。この作品の監督としては凡である。逆にこの監督のせいで先述したように「騒々しさ」が目立った結果となったのだろう。アクション表現には自信があるようだがAIRの解釈やエッセンスとはなんら関係ない無駄な装飾に過ぎないわけで逆にマイナスである。
さらにTV版のクオリティより明らかに劣化している画質、手抜きとしか思えない場面転換と無駄なスチル、駄作アニメ化の匂いが最初からするのである。TV版とキャストが唯一異なるのが国崎で、かつ緑川光というのもあまり良くない印象を与える。
既にこの時点で駄作決定であり、それが巷の評価にそのまま反映されているわけだ。

が、それでもAIRとして形を成しているのはアナザーストーリーと言い切れるほどには逸脱していない内容に加え原作プロットをそのまま残しているからだろう。正直、別展開のストーリーで結論が同じであれば全体で見てイコールという考え方の基に製作された作品である。原作版AIRの世界を深く知らなくても理解できる組み立て方になっているし、原作版の平均プレイ時間3000分に対するTV版の360分、さらに1/4となる劇場版が90分で、この範囲でAIRの世界を表現しようとすれば、一番納得できる展開の仕方ではある。この点では劇場版は原作を見ていなくても話がわかるし、原作版のダイジェストでもないから、これを見た事で後に原作版をプレイしてもその感動が薄れたりすることは無い。
原作版を汚さない。原作版には干渉しない。劇場版AIRのつくりが巧いと思ったのはこの点だけである。
そもそも原作版AIRはストーリーが広大すぎるため、劇場版で登場人物が踊るステージをぐっと絞り込んでいったのは正解だろう。原作版をベースに劇場版を語ろうとすれば、難点しか見えてこないのは自明の理である。

そんなわけで、AIRを制覇する目的でも、AIRにはじめて触れる目的でも、どちらの方向からのアプローチでも受け入れられるまさに「無難な凡作」であるから、見ておいて損は無いのである。

One thought on “劇場版AIR~総評

  1. プレイしていない人(私!)に向けたコメントのようでした。

    でも損を受けたけど。映画用グッズを買っちゃった

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です